TOKYO Teshigoto

江戸切子シュ/センロックグラス

22 江戸切子

『螺旋ロックグラス』は、欲張りだ。

正確なカットとガラスのつやめきが楽しめるという、
江戸切子の特長はもちろんのこと、
より美しい色あいと触り心地が味わえるようにと
“手磨き”による仕上げを施した。

現在、クリスタルガラスを素材とした江戸切子は
“酸磨き”で仕上げるのが一般的だ。

酸磨きは、切子の細かな断面を美しく仕上げるうえ、
作業を外注できる。
切子に集中できるのは、職人にとって大きな利点だ。
しかし、薬品に浸けることによって
被せ(きせ)という色ガラスの部分が溶け、
風合いが変わってしまう可能性があるとも言われている。

対して手磨きは、必要な部分だけを加工するため、
色ガラス本来の美しさを損なう恐れがない。
切子によって生じる表面のでこぼこを、
職人の“目と手”で、よりなめらかに仕上げられるのも特長だ。
しかし意外と習得が難しく、
手間と時間がかかる割には評価されにくいと、
止めてしまう職人も多いという。

そんななか「伝統工芸だからこそ、最後まで自分の手で」と、
手磨きにこだわってきたのが、清秀だ。
螺旋ロックグラスに幅広に施された切子の面は、
指が自然に吸いつくようで、持った時に滑らない。
そこには、手磨きならではの繊細なぬくもりが宿るようだ。

『螺旋ロックグラス』には、引き算の美学が香る。

デザイナーの
“果物の皮(ピール)をむくような”というイメージをうけ、
職人は「シンプルなデザインだからこそ、手触りも楽しめるものを」と考えた。

多くの江戸切子には、グラスの底に模様が施されている。
しかし螺旋ロックグラスは“上げ底”という手法で底の色を抜き、
あえて切子をしないことによって、
グラス全体の明るさと透明感を打ちだした。

大胆に彫りめぐらされた切子は、
螺旋ロックグラスを軽やかに見せる。
しかし手に持つと、意外なほどにずっしりとした重厚感、
そして手なじみの良さに驚かされるだろう。

五感を刺激する欲張りな美しさと、余分を排除した引き算の美学。

“手磨き”にこだわった職人の仕事は、
江戸切子の魅力を再発見させてくれる。

江戸切子手磨/螺旋ロックグラス
素材:クリスタルガラス
サイズ:直径85mm×高さ90mm
種類:(全5色)
緑、黒、金紫、金赤、瑠璃
希望小売価格:
瑠璃・緑 各¥27,500(税込)
金赤・金紫 各¥29,700(税込)
黒 ¥31,900(税込)

※本サイトに掲載している情報は2023年6月現在のものです。

※手作り品のため、サイズ、色、形は実際のものと多少異なります。

※商品の仕様および希望小売価格は、予告なく変更することがあります。