TOKYO Teshigoto

「手に取る人が幸せになれるようにと
『しあわせパンダ』と名付けた」

柔らかな表情とまるく愛らしいフォルムが
眺める人の笑みを誘う。

布でくるまれたパンダを
デザイナーとともに生み出した柿沼利光は
お雛様などの節句人形に用いられる
”木目込み(きめこみ)”の技術を継承する伝統工芸士だ。

桐のおがくずと生麩糊(しょうふのり)を練り
70度の乾燥室で2週間ほどじっくりと乾燥させた
中空のパンダ型の桐塑(とうそ)という粘土がベース。

首と胴のあわせめから見える内側だけではなく
布でかくれる外側にも
胡粉(ごふん)という
日本画でも使われている顔料が塗られ
美しさと強度を高めている。

パンダの全身を彩るのは
1ミリにも満たない細い筋に木目込(きめこ)んだ
金糸の入った正絹と和柄の縮緬(ちりめん)だ。

パンダらしい漆黒に加え
五節句にも通じる五行を意識しながら
6つの和の色のシリーズでまとめた。

背中まわりは、木目込みの難易度が高い。
いかにしわを逃し、きれいな丸みを出すかが
職人の腕の見せどころとなる。

顔の形や筋の入れ方も
どうしたら可愛くなるかと試行錯誤した。

彫りが深くなり、鼻筋が立ってくると
リアルさが増して可愛さが失われていく。

まあるく、まあるくと思いながら
線だけの表現で、かつ木目込みもできるようにと
形を練り上げた。

やわらかく揺れる首の動きを出すのにも、苦心した。

重さのバランスが難しく
1g単位の増減で動きが変わる。

ちょうどよい軽さを出すために
頭にはあえて桐塑ではなく、ウレタン樹脂を使った。

木目込みの『招き猫』シリーズなど
現代の感覚にフィットした
”普段もの”を生み出している柿沼だが

伝統的な行事である節句は
大事にしていきたい、と語る。

その子の健やかな成長を祈願して
贈られるのが、節句飾り。

お飾りを一緒に楽しむなかで
親子の絆も深まるし
ものの大事さも実感できると考えている。

”普段もの”に触れることによって
人形を飾る楽しさを思い出し
”木目込み”の、そして伝統工芸の良さに気づいていく。

そんなきっかけとなればという、やわらかな願いが
『しあわせパンダ』には込められている。

しあわせパンダ
素材:桐塑、ウレタン樹脂、レーヨン、正絹
サイズ:幅70mm、奥行120mm×高さ90mm
種類:〈日本の伝統色シリーズ全6種〉
2296-1 紅   | 2296-4 漆黒
2296-2 江戸紫 | 2296-5 藍
2296-3 山吹  | 2296-6 若竹
希望小売価格:各¥9,680(税込)

※本サイトに掲載している情報は2024年5月現在のものです。

※手作り品のため、サイズ、色、形は実際のものと多少異なります。

※商品の仕様および希望小売価格は、予告なく変更することがあります。