手で彫る良さ
和紙を柿渋で張り合わせた渋紙に、図案師が描いた図案を彫りぬいた伊勢形紙。
着物や手ぬぐいに柄や文様を染めるのに用いられ、近年は、美術工芸品としても注目されている。9割近くが三重県鈴鹿市で生産されているが、形紙職人の工房が東京葛飾にもある。120年以上続く松井形紙店。松井喜深子さんは四代目にあたる。
父からは、「好きなことをやりなさい」と言われていたが、「父の代で途絶えてしまうのはどうか、ずっと見てきたものですから」と高校卒業後、継承を決心。図案を描く工房で三年間修業したのち父の元に戻った。最初は、小刀を研ぐところから始め、研げるようになるまで一年かかったそうだ。
「今は機械でも彫れる時代。でも手で彫ると、彫りながらこの方がいいなって少し変えられるんです」松井さんが修行を始めた頃のこと「とにかく何も言わないで見てろっていう父だったんですが『お前の彫ったものは、花だったら咲いてない。蝶だった飛んでない』」と、父が手を入れた。その仕上がりに驚いたという「少し手をくわえると画が生きてくる。そこが手で彫るものの良さかなと思います」
松井形紙店
松井 喜深子
〒124-0012 東京都葛飾区立石3-27-3
TEL 03-3693-1755
katagami.m@gmail.com
https://www.matui-katagami.com/
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