職人技の結晶、光る。
光を湛えた色、あるいは艶のある色。七宝独特の美しさは古今東西、人々の心を魅了してきた。古代エジプトではツタンカーメンの黄金マスクにあるラピスラズリに、中世においてはキリスト教の聖具の装飾に、19世紀末に興ったアール・ヌーヴォーでも七宝の技法を用いたジュエリーは宝飾工により多数生み出された。日本へはシルクロードを通り中国から伝わったとされ、正倉院にも宝物の一つとして七宝がみられる。京七宝、尾張七宝、加賀七宝と、七宝は各地で花開き発展していくが、畠山七宝製作所の二代目、畠山弘さんは「東京七宝」の職人。メタル七宝とも呼ばれる東京七宝では、胎(たい)と言う金属のベースに硝子質の釉薬を盛り込んで紋様を描き出す。色とりどりの釉薬は800度前後の高温で焼成され、再度釉薬を盛り込み焼成する工程を繰り返し、最後に表面をわずか0.05mm磨くことにより独特の艶のある色を作り出す。アクセサリーを多く手がけてきたため、畠山さんが所有する釉薬の色数は200色ほどと多い。色彩の多彩さとともに、その職人技の高さから生み出される表現の多彩さも畠山さんの七宝の魅力だ。「透胎七宝」は、胎を穿って作った空洞に表面張力を操りながら釉薬を盛り込んで行く高度な技法。これを手がける職人は、今や畠山さんだけだ。美しい発色と卓越した表現技術で、人々を魅了し続けている。
畠山七宝製作所
〒116-0003 東京都荒川区南千住5-43-4
TEL 03-3801-4844
FAX 03-3801-5296
代表者 畠山 弘
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