TOKYO Teshigoto

光の屈折のきらめきを重んじる
江戸切子は
やわらかなU字の“かまぼこ”や
シャープなV字の“矢来(やらい)”
といわれる
刃物を使うことがほとんどだ。

しかし『BEKKAKU』で使われたのは
“角山”という、平らな切り口のために
切子の輝きが引き立たず
「あまり効果的ではない」と
職人から敬遠されていた台形の刃物。

そもそも一般的に
使われる刃物ではないために
『BEKKAKU』のために用意したという。

そんな『BEKKAKU』を制作したのは
2007年の江戸切子新作展での受賞以来数々の賞に輝き
2019年の新作展では第1位にあたる
経済産業省 製造産業局長賞を受賞した
石塚春樹。

ミツワ硝子工芸のチーフ職人として
精度を出すレベルのバランスや
クオリティの統一感にも意識をおく
そんな彼だからこそ
そのデザインの“効果”について
当初は懐疑的だった。

切子のラインは、ごくシンプルだ。
底は伝統的な菊底を
通常の倍の32本で切子して
側面は角山で、上から下まで切子を通す。

しかし台形の刃は
少しでもずれると線が太くなったり
二重になったりしやすいため
他の形の刃よりも精度が出しにくく
より一層の集中力が要求された。

石塚にとっては、切子を入れる深さも
未体験のゾーンだった。
こんなにも深く切子を入れたのは
初めてのこと。

しかしデザイナーの要望に応えて
切子しすぎて割れてしまうラインの
ぎりぎりまで攻めながら
きれいにそろった線を追い求め
デザイナーの意図を極限まで実現した。

自分では思いつかないようなデザインで
職人としては手間がかかりすぎると
退けるであろう
その一線を越えて求められ
作ったという『BEKKAKU』は
切子の新たな魅力を引き出したという。

日本的な美を追求する江戸切子に対し
『BEKKAKU』に漂うのは
世界中のどこにあっても違和感がない
無国籍感だ。

“矢来”や“かまぼこ”による
切子らしい輝きとは違ったタイプの
パキっとした佇まいの面白み。
それが今までの切子にはない
『BEKKAKU』の魅力。

『BEKKAKU』を作ったことによって
角山のカットが腑に落ちた。
この道具の面白さを活かせそうだと
石塚は語る。

角山という新たな刃物を携えた石塚が
江戸切子界にどんな新風を吹かせるのか
期待が高まる。

BEKKAKU
素材:クリスタル硝子
サイズ:直径80mm×高さ85mm
種類:MD-311 ロックグラス(ミディアムサイズ)
希望小売価格:¥33,000(税込)

※本サイトに掲載している情報は2021年1月現在のものです。

※手作り品のため、サイズ、色、形は実際のものと多少異なります。

※商品の仕様および希望小売価格は、予告なく変更することがあります。