へら絞り×鍛金で、唯一無二の銀器を。
浅野工芸は、1987年に浅野盛光さんが立ち上げた工房だ。それまでの24年間は銀師としての修行を重ねる日々。浅野さんは、ゴルフ大会などの優勝カップづくりを通して、へら絞り(ろくろで回転する金属板にへら棒を押し当てて形を変えていく加工技術)の技術に磨きをかけていった。
40歳を前に独立すると、「今までとは違うものを作る」ことを目標に掲げた。もっと手仕事の部分を大切にしたいと、独立と同時に鍛金の技術を習得すべく、自身の仕事をこなしながら修行に励んだ。
へら絞りと鍛金の両方を一人で担う職人は稀だという。そのため、道具類も自分の手で作るところから始まった。こうして、湯沸かしや急須、お銚子などの茶器や酒器を中心に、浅野さんにしかできない逸品の数々が生まれていく。
特に、一枚板から注ぎ口までを含めて作り出す湯沸かしや急須は、高度な技術が必要となるものだ。本体部分と注ぎ口との間につなぎ目がない分、スムーズな注ぎ心地が味わえる。さらにそこに、鍛金や彫金で龍や紅葉、竹などの繊細で美しい装飾を施し、もはや美術品のような一品に仕上げていく。
自身のことを「匠笑(たくしょう)」と語る浅野さん。「匠の技を駆使して他の誰にも作ることができないようなもの、見た人が『こんな作品がこの世にあるのか』と思わず笑顔になってしまうようなものをこれからも作っていきたい」と話す。
そして、「自分が生きた証としてもこの技術を若い人たちに引き継いでもらいたい」と、独学で身につけた技術を惜しみなく後世に残していきたいと願う。2021年現在、工房で働く従業員は3人。それぞれが黙々とへら絞りの作業に打ち込んでいた。浅野さんが一代で築き上げた「浅野工芸」の看板は、確実に次世代へと引き継がれていく。
株式会社 浅野工芸
〒121-0011 東京都足立区中央本町5-12-8 メゾンクレール 1F
TEL 03-6806-3131
FAX 03-6806-3161
浅野 盛光(風光)
asanokogei@gmail.com
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