孤高の、切子。
江戸切子の、新しい世界を切り拓く作風。但野硝子加工所の二代目である但野英芳さんの江戸切子には、独特の世界感がある。モチーフは、冬の樹木、金魚、スカル、スパイダーなど景色や生物。これを様々なダイヤモンドホイールを駆使して、絵を描くようにカットしていく。ルネ・ラリックのレリーフを彷彿させるが、透きガラスだけではなく、赤や瑠璃の色硝子を被せたガラスの色を活かしながらカットするところが、ラリック以上に豊かな世界を描き出している。金魚をモチーフにした江戸切子を例にとると、尾ひれの赤い硝子を残すところと削るところをつくることにより、尾ひれに透明感が出て金魚が水の中を泳いでいるような効果を生み出している。但野英芳さんは、設計事務所勤めを経て江戸切子の職人になったという。但野硝子加工所を興した父・孝一さんとともに仕事をしたのは、わずか2年半。その後は、ほぼ独学でカットの技術を身につけた。厳しく孤独の道のりであっただろうが、その時間が独自の作風を生み出したのかもしれない。孝一さんが遺してくれたダイヤモンドホイールをはじめとする多くの道具も、独自の作風を支えている。
但野硝子加工所
〒136-0072 東京都江東区大島7-30-16
TEL 03-5609-8486
但野 英芳
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