TOKYO Teshigoto

高橋刺繍店

26 江戸刺繍

一針一針、緻密に描く

杉並区にある1968(昭和43)年創業の高橋刺繍店は、和装の刺繍を専門として、母と娘二人の家族三人で営んでいる。長女・齋藤優子さんと次女・遠藤麻美さんは、子育てや会社員をしながら手伝いはしていたものの、先代である父が亡くなったことから本格的に事業に携わるようになった。

高橋刺繍店には数千枚の紋型紙がある。生地に下書きをせず、まず、型紙に図案を彫ることから始める。彫った型紙を生地に置き、胡粉を擦って型を写す。そして胡粉をあてに針を通していく。反物に下書きをすると跡が残ったり、形が崩れるのを防ぐためだ。先代から作り続けてきた型紙は工房の財産だという。

江戸刺繍は、手刺繍ならではのふっくらとした仕上がりと、見る角度を変える度に輝きも変化する絹特有の艶やかさが魅力。表現に合わせて糸の太さを自在に変え、また、異なる糸を組み合わせて新たな色を作り出す。主に呉服店からの発注で、直接お客さんと会う機会はないが、着物の雰囲気、その方の年齢から、姿や好みを想像して色合いを構成する。気に入ってもらいリピートで依頼を受けることも多いそうだ。刺繍ひとつひとつが「作品」だという。緻密で繊細な作品は、一針一針気の遠くなるような手間をかけて完成する。

高橋刺繍店
齋藤 優子、遠藤 麻美
〒166-0015 東京都杉並区成田東1-47-16
TEL&FAX 03-3315-6496
3takahashi.shishuten@gmail.com

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