一千色を操る、神の手。
四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃ・ひゃくねずみ)。江戸時代後期、幕府が出した奢侈禁止令(しゃしきんしれい)の下、庶民が身につけるものの色は、「茶色」「鼠色」「藍色」に限定される。しかし、そんな統制下でも洒落を競ったのが、江戸っ子。その心意気が、茶色、鼠色を多彩にし、”四十八茶百鼠”といわれるほどのバリエーションを生み出した。四季のある国に暮らす人々の”色”への感受性の豊かさもあっただろう。先の四十八茶百鼠を含め、日本の伝統色には、一千余りの色数があると言われる。1951(昭和26)年創業の近藤染工は、この多彩な日本の伝統色を自在に操る「東京無地染」の染色工房。染色機からは、もうもうと湯気が立ち上り、その前を色の見本帖を手にした二代目・近藤良治さんが、生地の染まり具合を確認しながら動き回る。見本帖の色にピタリと合う色は、赤、黄、青、緑、黒のたった5色の調合で作り出す。一千色を染め分けられる手は、まさに神の手。その神の手を頼り、白生地以外の素材を染めて欲しいというオーダーも増えてきた。その技術、経験でこれまで色を持たなかった素材にも色が与えられている。
株式会社近藤染工
〒135-0024 東京都江東区清澄2-15-3
TEL 03-3641-2135
代表取締役 近藤 良治
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