名建築への漆工で磨かれた、漆の技。
建築漆工という仕事がある。日本建築に特徴的な床の間の框、棚板、柱などに漆塗りを施すこの仕事に携わる職人は、今では数えるほど。安宅漆工店の当代・安宅信太郎さんは、東京で数人となってしまった建築漆工を手がける漆職人だ。15歳の時、実父である儀一氏に弟子入りして以来、安宅さんは様々な建造物に漆による装飾を行ってきた。手がけた仕事をうかがうと、信州の善光寺、目黒雅叙園、国立能楽堂、衆議院議長公邸など名建築の名が挙がる。建築漆工の場合、建造物が建てられた時代や、建築様式などによって必要とされる漆芸技術も様々。その要求に応えるべく漆の知識や技術を磨いてきたため、安宅さんの漆芸技術は幅広く、そして深い。呂色(ろいろ)仕上げ、梨子塗、春慶塗り、溜め塗り等。様々な漆芸技術で仕上げられた漆の深みのある艶が、建築の重厚感を高め、華やかさを演出する。また墨田区無形文化財保持者であり、東京マイスター、すみだマイスターにも認定されている安宅さんのもとへは、文化財修復の依頼も多い。目黒雅叙園の「百段階段」も、その一つ。「百段階段」の建造時には、儀一氏も漆工として関わったそう。二代に亘り名建築に携わるのも、大変珍しい。
安宅漆工店
〒131-0033 東京都墨田区向島3 -38-10
TEL 03-3622-1582
FAX 03-3622-1582
安宅 信太郎
atakashikkouten@gmail.com
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