人の心を映す、小さき者。
松崎人形は、「江戸衣裳着人形」と「江戸木目込人形」の両方を手がける珍しい工房だ。創業は、1920(大正9)年。当代の松崎光正さんは、松崎人形の三代目で、雅号を「幸一光」と名乗る。美術大学で彫刻を学んでいた光正さんは、人形の頭(かしら)も手がける。人形は分業で作られることが多く、頭と胴の両方を手がけるのも珍しい。頭は桐材を彫刻する工程から始まり、胡粉(ごふん)を何度も塗って原型を作る。それを型取りし、石膏または素焼きの頭の生地を製作。最後に生地に胡粉を塗り、面相を施して完成させる。ふっくらとして上品で愛らしい形、愛嬌のある目鼻立ちは、松崎人形の“顔”とも言える特長だが、これらの世界感は光正さんの手により作り出されている。「江戸衣裳着人形」は、文字通り衣裳を着た人形だが、衣裳の紋様のデザイン、縫製、着付けも独自の工夫ですっきりと美しい姿に仕立て上げる。節句人形など伝統的な人形だけでなく、現代の暮らしに新しい風を運ぶ創作にも挑む。掌におさまる小さな人形のシリーズには、人形作りの伝統的な技と新しい提案が息づく。人形は、ものであって、ものでない。自身の分身であったり、大切な人を投影して眺め大事にするもの。人形に対しての強い思いが、創作の源泉。職人が手を動かす工房には、20代、30代の若手も数多い。
幸一光 株式会社 松崎人形
〒123-0842 東京都足立区栗原2-4-6
TEL 03-3884-3884
FAX 03-3884-3886
代表取締役 松崎 光正
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