TOKYO Teshigoto

有限会社 国治刃物工芸製作所

29 東京打刃物

華道家、垂涎。

全国の華道家が、完成を待ちわびる鋏がある。賛辞は「刃先に目がついているようだ」「刃先が指先のように使える」など様々だが、どれも鋏に期待していた機能を超越していることへの驚嘆の声に聞こえる。そして、佇まいの美しさ。文机の上に置かれているだけで、その場の空気が凜とするような姿形をしている。しかし究極の機能美を作り出す川澄巌氏は、いささかの気むずかしさもなく、飄々としたお人柄。「刃物だもの、切れるのは当たり前」と、そんな言葉を気負いも無く口にする。聞けば初代は医療用の鋏である「剪刀(せんとう)」「鉗子(かんし)」などを作っていたが、たまたま近所の華道家からの求めに応じて花鋏を誂えたところから、瞬く間に全国の華道家に評判が広がっていったのだという。また川澄氏は、こうも言う。「私は、手作りって嫌いなんです」。言外には「手作りだから価値があるのではなく、手作りで機械にできない価値を生み出すこと」への矜持がある。気負い無いように見えるが、その陰には探求心と努力の跡が垣間見えてくる。

有限会社 国治刃物工芸製作所
〒123-0873 東京都足立区扇一丁目3-12
TEL 03-3890-1854
川澄 巌

工房見学
なし
工房体験
なし

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