絵になる姿で、水も漏らさぬ。
姿の美しい桶。木曽さわらの木肌と洋白銀の箍(たが)の二つの素材しかないのに、時間を忘れて見惚れる美しさがこの桶にはある。桶栄(有限会社桶栄川又)は、1887(明治20)年に東京の下町、深川に開業した。初代・川又新右衛門氏が作る飯櫃(めしびつ)と桶は、形の美しさと丈夫さに定評があり、多くの料亭が挙って求めたという。そもそも桶とは、風呂桶、手桶、寿司桶、飯櫃、酒樽など様々な場面で使われていた容器。その技術を持つ職人「結桶師(ゆいおけし)」は、桶の種類ごとに専門に分かれていた。江戸のお櫃には蓋があり、江戸櫃と呼ばれて他の飯櫃と区別されている。蓋と身がピタリと合う技術がなければ結えない江戸櫃の結桶師は、桶職人の間でも一目置かれる存在だったそうだ。桶栄の四代目となる当代・栄風さんは、その江戸櫃の技と桶栄の美意識を受け継ぐ。樹齢300年余の天然木曽さわらの丸太を玉切りした後、「くれ」と呼ぶ鉈(なた)で割り製材する工程から仕上げるまでを一人で行う。現代の暮らしが求める桶も結うが、ワインクーラーはその一つ。時間を忘れて見惚れる美しさと水も漏らさぬ確かな技術が、初代から変わらぬ桶栄らしさを物語っている。
有限会社 桶栄川又
〒135-0013 東京都江東区千田6-10 1階
TEL 03-5683-7838
FAX 03-5683-7838
代表取締役 川又 栄風(勝美)
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