TOKYO Teshigoto

三絃司きくおか

31 東京三味線

三味線、イノベーター。

心地良い伴奏に合わせて、一人またはみんなで声合わせ歌う時間の楽しさよ。世界共通語になったカラオケの発明をとっても、 “歌う”ということは日本人にとって日常である。それではカラオケのない時代、どうしていたのか。楽しい宴の余興の時、そして一人口ずさみたい晩など、伴奏は三味線と決まっていた。昭和の小唄ブーム、民謡ブームなどの時には、多くの人が三味線を買い求め、お稽古に勤しんだという。現代の生活では目に触れることも少なくなったが、誰もが三味線を手にしていたという時代があったのだ。「あの輝きをもう一度」と三味線づくりの世界に一人飛び込んだ男、それが「三絃司きくおか」の初代・河野公昭さんだ。世襲の多いこの世界で、ゼロからのスタートは珍しい。しかし逆に、違う世界から飛び込んできたからこそ、常識とされていたことを覆し、新しい道を切り開いた。胴に使う動物皮を合成繊維にしたり、皮を張る際に伝統的に使われてきた道具「木線(きせん)」を独自に開発したり。始めた当初は異端であった改革も、「プロが認めるほどの音質」や「生産効率を高め、普及に一役買う」などの理由から、徐々にスタンダードになりつつある。次に河野さんが狙うのは海外市場。ハワイに旅行すると、お土産にウクレレが欲しくなる。そんな風に、三味線を手にしてもらえないかという発想。河野さんのイノベーションは、まだまだ続く。

三絃司きくおか
〒124-0014 東京都葛飾区東四つ木1-7-2
TEL 090-3226-8154
FAX 03-3696-0890
河野 公昭
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