TOKYO Teshigoto
2020.06.16

超絶技巧で製作される、檜垣彫金工芸「手編みジュエリー」を詳しく紹介。

世界を驚かせる職人の技

超絶技巧、手編みジュエリー。

日本発のオリジナルジュエリー。

手編みジュエリー。初めて耳にしたら、「手編みのジュエリー?」と問い返してしまうだろう。「手編みジュエリー」は、「檜垣彫金工芸」の二代目・檜垣宣夫氏と現当主である三代目・檜垣隆博氏によって確立され、一つのジャンルとなった日本発のジュエリーだ。2つのリングが連なる「手編みジュエリー」のペンダントヘッドを見せていただくと、リングの中には、確かにゴールド線とプラチナ線が規則正しい編み目となって優美な光を湛えている。貴金属としての魅力はもちろんのこと、「どうやって作っているのだろう」という興味も湧いてくる。時計愛好家が、フォルムの美しさや精巧なムーブメントに浪漫を感じ魅了されるのに似ているかもしれない。


2連のペンダントヘッド。リングの中に手編みされたゴールド線、プラチナ線が美しく収まっている。

貴金属の線を細く整える。

手編みジュエリーの製作工程だが、まずゴールド線やプラチナ線の太さを必要なサイズまで整えていく「線引き」という工程から始まる。バーナーで貴金属の線に熱を与えた後、金属板に大小様々な穴を空けた専用の道具に貴金属の線を通す。そうすると、線の径が穴の径のサイズに細くなる。当然、貴金属の線を細くするのだから、相応の力がいる。金属板を万力に固定し、ペンチで貴金属の線の先端をつかんで、一気にぐぐっと引く。もっと細くしたければ、穴のサイズを徐々に下げていき必要なサイズになるまでこの作業を繰り返していく。製作するジュエリーのデザインにもよるが、一番細くする場合は0.34ミリまでの細さに加工する。線の径が整ったら、これをオリジナルの道具を使って撚りをかけていく。



「線引き」の工程で、必要な細さに貴金属の線を整えた後、撚りをかけて線にボリュームを出す。

撚りをかけた線を編む。

撚りをかけた線の準備ができたら、いよいよ“編む”工程へ移る。万力に貴金属の線の先端を固定し編んでいくのだが、毛糸など柔らかい素材を編むのとは勝手が違い規則正しい編み目をつくるための力加減は難しい。暴れる線を相手に、集中しながら編み進める。

超絶技巧のロウ付け。

貴金属の線を手編みするという技も高度な技なのだが、手編みしたパーツを1ミリ弱に切った金ロウでロウ付けするという技が驚嘆に値する。ロウ付けの跡も、ほとんど分からないのだから、まさに「超絶技巧」だ。接着したい箇所に1ミリ弱の金ロウを置き、バーナーで熱を加えると、編み目に使った貴金属よりも融点の低い金ロウが先に融けて、編み目とリングのフレームになる貴金属の間に、スッと“流れる”。接着力は強固で、接着し終わったパーツをリングにするため曲げる際にも剥がれることはないそうだ。今回の取材で見せていただいたのは、編み目とリングのフレームをロウ付けする工程だったが、リング状に曲げた後に端と端をロウ付けするのは、さらに高度な技がなければ、確実、そして美しく仕上げることは出来ない。


編んだパーツと、リングの両端になるパーツ。これを超絶技巧でロウ付けする。



1ミリ弱の金ロウを配置し、バーナーで熱してロウ付けする。

独自の煌めきをつくる技。

「檜垣彫金工芸」の「手編みジュエリー」は、撚りをかけた貴金属の線を編むことにより、独特の光を放つジュエリーとなっている。また“手編み”という響きから伝わる温もりもある。いくつもの工程を経て、また超絶と言える技を使いながらつくられるジュエリーだからこそ、身に着ける人の心を動かし豊かにすることができるのだろう。